【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「麻生くんが本当に父親を殺したの?」

「何を今さら!」

RYOさんはまだ長いタバコを吐き出すようにして灰皿に押し付けた。

「私には麻生くんが狂っているとは思えない。彼はたぶんとても純粋な人で…。素直すぎるから自分の宿命を重過ぎるほど受け止めているんじゃ。父親のことだって自分が殺したって思い込んでいるだけじゃ…」

「バカ言うな!!」

RYOさんの罵声が私を押さえつける。

反論させはしないぞという力強い意志がみなぎっている。



今までの私だったらきっと彼に反発はしなかっただろう。

自分の意見は胸の奥にしまいこみ、彼に追随したにちがいない。



でも、今なら――。




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