【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「RYOさん、嘘をついているんじゃないですか?」

彼のまっすぐな瞳はまるで私を突き刺すかのようだった。

たぶん、この瞬間、私は越えてはならない領域についに足を踏み入れてしまったのだと思う。



「ねえ、アヤちゃん。殺人事件の時効ってどのくらいか知ってる?」



時計の音だけが鳴り響いていた。

冷静で正確で事務的なそのリズムは刻々と私を追い詰めているかのよう。

自分が危険な状況に置かれているという現実に私は今やっと気づいた。



「刑事は15年、民事は20年…。ま、アヤちゃんには関係ないことだろうけど」

「そして麻生君にも関係ないことでしょ」



かっと見開いた二つの目が再び私を突き刺す。



「それはどういう意味かな?」








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