【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
結局、RYOさんは麻生君を殺す理由がほしかっただけなのかもしれない。


「社長が死んでから初めの頃はうまく行ってた。仕事も軌道に乗ったし、リサコとも寄りを戻せた。でも…最近だよ、僕は気づいてしまった。リサコは僕のことを愛していない」

「そんなこと! そんなことないわ」

「いや。さっきも言ったよね。リサコはさ、社長のことを憎んでいたけれど、社長なしでは生きられなかったんだ。あの毒がいつの間にか蜜の味に変わってしまっていた。ところが、社長はいない。そしてその代わりに成長したマコがいる」


信じられなかった。

仮にも親子としてずっと生活してきた二人なのに、そんなこと…。


「僕は気づいてしまった。リサコがマコを見つめる目が変わってしまったって。マコの手をうっとりと潤んだ瞳で見つめているのをみたとき、もう僕じゃだめなんだって。マコがいる限り、リサコはマコに抱かれたいと思うだろう。そして実行してしまうかもしれない」

「そんなのまちがってる!」

「おまえになんかわかるかよ。俺がどんなにリサコを愛しているか」

「愛しているなら、その人を幸せにしてあげたいって考えないの?」


どうせ殺されてしまうんだ。

私はすべて言おう。

そう決めた。
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