【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「アヤ、見て。ほら、後ろ!」

振り返ると、空を横切るほど大きな七色のアーチが見えた。

「うわっ、きれい。すごっ!」


それから二人してずっと虹を見ていたんだけど、どちらからともなく私たちは手を握り合っていた。


「大人になるってさ、深いね」

「私、なめてたよ。もっとドラマみたいだって思ってたし」

「見た目とか、人より遅れたくないとか」

「でもさ、気づいたよ。私はさ、大人になったらもっとちゃんと人を好きになりたい。今はさまだ子どもだから、深いところまではわからないけど。でも、思ったんだ」

「そうだね、上辺だけじゃない本当の愛が知りたいな」


つながれた私たちの手はさらに強くなっていた。



「あ、虹、消えちゃう!」


ランの言葉とほぼ同時に虹は姿を消した。



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