【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
ランは頬杖をつきながら、興味深そうに私の顔を見つめる。

一方、私のほうはと言えば、顔から火が出そうな勢いでたぶんゆでだこのように真っ赤な顔をしているのだと思う。

さっきよりさらに喉がからからになっている。

だから、ランの前にあったグラスを取り返し、ミネラルウォーターをなみなみと注ぎ、一気に喉奥に流し込んだ。

そして、なんとか言葉を搾り出す。


「そ、そんなこと…か、考えたこともないよ…」


声が震えていた。


「えーまぢで?」


ランが身を乗り出す。


「ま、アヤだもんね。そんな妄想したことなくて当然か」


ランはくすっと笑って見せた。


「アヤこそ、経験豊富な大人の彼がいいと思うよ。やっぱり昨日の彼みたいな人!」



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