【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「図書館に行きたいから」と嘘をついて、私はランを連れ出した。

「せっかくの土曜日なんだから、もっとおしゃべりしてようよ」とランは不満顔だったけれど、私は譲らない。

だって、これ以上ランとこんな話をしていたら、多分私は耐えられないもの。

「この前あんな無様な結果になっちゃったんだもん。リベンジするの!」

勉強のことになったら私が譲るわけないとあきらめるだろう。

ランがどんな反応をするのか。

ちらりと横目でその表情を覗き見る。

ランはやれやれとでも言いたげにわざとらしくため息をつき、肩をすくめて見せた。



「じゃあ、とりあえず、図書館までついて行く」

「え、ランも勉強するの?」

「まさか。雑誌コーナーで時間をつぶしたら家に帰るだけよ」










< 37 / 353 >

この作品をシェア

pagetop