【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
――麻生マコト。

入学以来、常に学年一位をキープしている秀才。

しかもイケメンときているので、ファンの数多し。

ランもその一人。



私がこんなに髪を振り乱して勉強しても一位をとれないのに、麻生マコトときたら、まったくいつ勉強してるのかって思うくらい勉強の匂いがしない。

雑誌の読者モデルもやっているって噂があるくらいの爽やかボーイ。



「アヤもさ、麻生くんを見習いなよ」

「なんでよ」

「だって、アヤって笑っちゃうくらい勉強一直線て感じだもん。いまどきそんな分厚いレンズのめがねしてる子見たことないし。髪の毛だっていっつも寝癖ついてるし。眉毛の手入れだってしたことないでしょ」

「うるさいなー」


悔しいけどランのご指摘のとおり。

私の視力は0.01.

今や小学生だってコンタクトレンズ使っているのに、私は高校生になった今でも一貫してめがねっこ。

髪の毛のカットはいまだに家でお母さんにやってもらってる。



まあ、確かに…かなり普通の女子高生とはかけはなれているとは思う。

けどさ、なんかもう今さらって感じなんだよね。

私はもうこういうキャラだし、あえて変えるっていうのもなんだか照れくさい。

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