【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
車は静かに街中を走り抜けた。

見慣れた街の景色なのに、見えない目とこの状況のためかまったく別物に見える。

早く、逃げないと。



すると、車が静かに停車した。

しめた!

信号待ち。

今なら逃げられる。

めがねをとられたままっていうのは悔しいけどやむをえない。

私はシートベルトをはずし、ドアを開けようとした。

けれど…。


「あれ、開かない」

ドアはロックされていてびくともしない。

もうこうなったら仕方ない。

窓を開けて歩行者に助けを求めよう。

けれど…。


窓もロックされているらしく数ミリも開きはしなかった。


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