【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「さあどうぞ」

そう言って男が開いたドアの内側はやっぱり期待を裏切らなかった。

大理石だろうか。

はっきりとは見えないけど、たぶんマーブル模様の石が玄関に敷かれている。

ひんやりとした質感が靴を通してでも伝わってくる。

それも結構な広さ。

この玄関だけで私の部屋くらいの広さはあるんじゃないの。

私はまるで魔法の呪文をかけられたかのように、彼の言葉に素直に応じてしまう。

なんの抵抗もせずに自分から靴を脱ぎ、玄関マットにあがった。

「ごめんね、うちスリッパないの。そのままはだしでいいかなあ」

親しい友人を招き入れるかのように、彼は自然に振舞っていた。





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