【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「そうだよ、君だよ」

男は私の右肩の上あたりに顔を並べ、鏡を通して私の目を見つめる。

「どう?」

「信じられない…」

鏡を目の前にしてもまだ信じることができなかった。

私は自分の顔にそっと手を触れさせてみる。

すると鏡の中の少女も同じしぐさをしてみせた。

「すごくやりがいがあったよ。君、自分のことなんにもいじってなかったし。目はね、アイプチさせてもらったよ。眉毛もいじった。まつげはね、つけまつげを乗せてる。あと、軽くメイクしただけ」

長年強度近視のせいでめがねのない自分の顔を見たことがなかった。

だから余計に戸惑ってしまって、鏡から目をはなせない。


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