【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「沢木さん」

一緒に立ち上がった麻生くんが何かいいたげな顔をしている。

「え…何?」

きゃー!

めがねを通して見ると、あまりにはっきりその端正な顔立ちが見えてしまって急に恥ずかしくなった。

私は二秒とまともに目をあわすことができない。

「コンタクトにしたほうがいいんじゃない?」

「え?」

「いや、ごめん。余計なことなんだけど…」

麻生君はきれいな瞳をまっすぐこちらに投げかけながらこう言う。

「沢木さん、かわいいんだからさ。隠しておくなんてもったいないよ」
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