【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
――その日の昼休み。

「ちょっとちょっと、なんでアヤなのよ!!」

「ありえないんだから」

私の机の周りは麻生マコトのファンで囲まれていた。

みんな目が血走ってる。

怖い…。

「いや、ただめがねが壊れちゃって、それめがねやさんに行っただけだから」

私は言葉を選びながら、慎重に答える。

何か刺激するようなことを言ったらかみつかれそうな勢いだもの。

「そんなのあんた一人で行けばいいでしょ」

「なんで麻生くんが付き添わなくちゃいけないのよ」

興奮はちっとも収まらない。

青筋立ててるし。

「たぶん、麻生くん責任を感じたみたいでそれでだと思う」

とにかくこの場をおさめなくちゃ。

だから私はこう続ける。

「それに私こんなブサイクなんだよ。だからみんなそんなに興奮することないよ」
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