貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
……あの日、プロジェクト成功の宴席は幹事の意向で、とあるワインバーで行われたという。
学生時代にワインを飲んで手酷い目にあった神山透は、周囲にその旨を伝えた上で、その日ワインはおろかアルコールは全く飲まず、色が似ている葡萄のジュースをひたすら飲んでいた。
そして会の終盤、紺野洋子から手渡されたグラスの飲み物を受け取り口にしたところ、急に頭がぼうっとなって、以降の記憶が途絶えてしまったのだった。

何が起きたのかさっぱりわからない神山透は、後日同僚から当時のことを確認してみたが、わかった事といえば、神山透が意識も怪しく足元のおぼつかない様子だった事と、紺野洋子が彼の為にタクシーを捕まえて乗せてくれる役を買って出て、二人で店を出て行ったこと程度の情報だったという。

「僕はあの日、お酒は一滴も飲んじゃいなかったのに、酩酊してしまうなんておかしい話じゃないか。君が渡してくれたあれ、本当にジュースだったのかい?」

先日神山透から聞いた紺野洋子との馴れ初めでは、そんな話までは聞いていなかった私は心底驚き、思わず紺野洋子を凝視してしまった。
もしかして、紺野洋子はジュースとワインをすり替えた?
ということは、ホテルに連れ込んだのも、酔った神山透ではなくて……??


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