貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
「……僕はね、あれからずっと君を観察していたんだよ。」

神山透は溜まっていたものを吐き出すように、ふぅっと大きく息を吐いた。

「だって、アプローチする方法なら世の中に色々あるはずなのに、酩酊した人をホテルに連れ込むなんて、乱暴で短絡的なやり方をした君を、どうして信用ができると思う?
「そんなっ!連れ込むだなんて……!!」

紺野洋子の言い訳が聞こえないかのように、更に告白は続く。

「あの晩ホテルで何があったか僕には分からない。もし君を傷つけるようなことをしていたのだとすれば、大変申し訳ないことをしたと思うし、責任を取って大切にしなければいけないと思ったよ。でもあの飲み物の取り替えがどうしても腑に落ちない。あれはただの不注意だったのか、故意によるものだったのか。君が誠実な人間なのかどうかをよく見極める必要があったから……だからね、僕は観察していたんだよ。」

淡々と紡がれる神山透の言葉からは、なんの感情も読み取れないが、それが逆に恐ろしくも感じられる。
それは紺野洋子も同じようで、何か反論したそうに口を閉じたり開いたりしていたが、先程までの勢いはすっかり鳴りを潜め「そんな……」と言ったきり押し黙り、いよいよ顔色を失っていくのだった。

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