貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
「ダーメだって、言ってるでしょう?!」

グイッと体を押しやり勢いよく立ち上がると、神山透に怒鳴りつける私である。

「透さん、『待て』と言ったら犬でも猫でも待てますよ?!それとも透さんは、犬や猫以下なんですか?!なんで待ってって言うのに待てないんですか?!」

ギャンギャン叱ると神山透はシュンとしながら、「犬はともかく、猫は『待て』しないと思う」と指摘をしつつ、「だって、郁子さんがかまってくれないから、寂しくてつい」と、うなだれて犯行の動機を自白するのだった。

「だから今日は課題をするから、お構いできませんって言ったじゃないですか。」
「わかってはいたつもりだったんですけど、いざとなるとやっぱり構ってほしくなりました。」

……自分勝手な理由ながらも、そんななんとも可愛らしいことを言われてしまえば許してあげたくなってしまうではないか。

全くもう、とため息をつくと「もうちょっとで課題終わりますから、そしたらイチャイチャしましょう?透くんは、待てますか?」と、優しい声色で素行の悪い生徒を指導する先生の様に聞いてみる。

するとイケメンは、ガバリと頭を上げると目をキラキラさせて、

「はい!僕、神山透は待てができる犬です!待てます!!待ってます!!」

……ついに自分のことを「犬」と言ってしまうのだった。
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