貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
そして現在、パネルの前。
イケメンはのんびり「部屋ごとになにかオプションが変わるんですかね?」などと言って興味深くパネルを覗き込んでいる。さすがは研究マニアである。

そんな神山透を尻目に、なんとなく他の客と鉢合わせするのは恥ずかしい私は「この部屋にしましょう!」と数ある部屋の中、315と書かれたパネルのボタンをさっさと押すのだった。

「ところでどうしてこの部屋にしようとしたんですか?」
「まあ、なんとなくですかね。」

部屋まで移動するエレベーターの中、間を持たせるためか神山透はそんな事を聞いてくる。

強いて言えばルームナンバーの315は、ゴロあわせで言うと「さぁ()()こう()」となる。決意表明の表れであると伝えると、神山透はブフッっと吹き出し、「たまに山本さんて、おじさんみたいなこと言いますよね」と笑うのだった。
えー?そうかぁ?
こちらは地味とはいえ、まだまだ花ざかりの20代。
おじさんと言われて嬉しい要素は何もないが、そんなことを言う神山透は店を出てからというもの、箸が転がってもおかしい年頃、女子校生のようによく笑う。

ほんの少しのことでも楽しそうにする乙女感満載のイケメンの姿。それは仕事の場面と、先程の酔う前の打ちひしがれる神山透しか知らない私にとって、新たな発見なのでもあった。


そうして入った315号室は、ラベンダー色に淡く照らされた大きなベッドとソファー、そして事後に寛いでテレビを見られるようにか巨大なスクリーンがある、タバコの匂いがする部屋だった。

「えーと、早速ですけどどうします?」
「まずはシャワーだとは思いますが、そもそも男女どちらが先に入るものなんでしょう?」

神山透に声を掛けると早速生徒から質問が飛ぶ。

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