貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
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結局ホテルを出たのは朝の6時で、延長料金は発生しなかった。

「せっかくなんで手を繋いで帰ってもいいですか?」

外に出たイケメンは、乙女みたいにはにかみながらそんな可愛らしいことを言ってくる。
まあ今後二度とこういうこともないことだろう。
最初で最後のお願いごとをここは一つ叶えてやるかと思い立つと、「甘えん坊の生徒だなあ」と言いながら、私は女子生徒みたいな神山透に調子を合わせてやる。

そして『彼女』の憧れの先生を気取ると、来た時と同じく指を絡ませギュッとその手を握り締めて、駅までの道のりを帰ることにするのだった。

一連の出来事はこれでおしまい。

この時完全に私はそう高をくくっていた。

だからイケメンの再びのお願いにより、一週間後またしても同じホテルの同じ部屋に来るだなんて、微塵にも予想していなかったのである。

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