貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
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「じゃあ今日もルームナンバーさあ()()こう()にしましょうか。」

笑いながら先週の私のようなことを言って部屋を選んだ神山透と、例の315号室にて先週から通算2回目の先生と生徒ごっこのはじまりはじまり。

お題はイケメンの熱いご要望により先日と同じキスの話。

「さあて神山くん、キスとはどんなことをするのかお勉強する前に、まずはいつも君がしているキスの仕方を先生にしてみてくれるかな?」

「はい先生。宜しくお願いします」

自分で要望を出したくせに、神山透は照れた様子で微笑みながら私に近づくと、両手を私の肩に添えて、唇にそっと自身の唇を重ねてくる。
そしてその後で耳たぶを口に含み舌でねぶったり、首筋を食んだり舌で舐め取ったりと、壊れ物をそっと扱うように、またその存在を確かめるかのように、舌と唇を這わせてくるのだった。

唇、耳、首筋を熱心に行ったり来たり。優しく触れたかと思うと、たまにチュパッと音を鳴らして自分の痕跡を残そうとする独占欲も垣間見えたり、なんていうか、愛されていると勘違いしてしまいそうになってしまう。


う、わぁぁぁ

肌と一緒に心までざわめくような、ため息と共に不覚にも声が出そうになる、なんともときめくキスである。
ありゃ、私、こういうの、好き、かも。
体の内側が段々溶けたチョコレートのように甘くてトロトロしてくるのがわかる。


……が、酸いも甘いも知り尽くす大人のおねーさまがたが望んでいるキスは多分これじゃないような、気も、する。
  

「えーとえーと、神山くん?先生はこれでも十分素敵なんですけど、世の中の女性はこれだけでは足りないのかもしれませんね。」
「山本さんが良いというなら、それだけで十分僕は満足ですけれど?」

このままだと床に溶けて崩れ落ちてしまいそうなる私は神山透から慌てて体を引き離すが、イケメンは評価が不服なのか、なんとも不貞腐れた顔をする。

いやいやそれじゃ将来の君の為になりませんよ?
悪態をつく不良生徒に勉強・知識の大事さを教える生徒指導の先生みたいに、私はイケメンを説得するのであった。

それでは次の講義、始めまーす。
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