貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
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「寝るにはまだ時間が早いですし、帰ったら映画でも見ませんか?」

コンビニ、というかドラッグストアでお泊まりセットを買って店の外に出ると、神山透はとレンタルショップへの寄り道を提案してきたのだった。

最近映画も見てないしな。
快諾をして何を見ようか話をしながら店内に入り、何点か借りる映画を物色していると神山透は私の手を取って、「この中にも、入ってみませんか?」と誘ってきた。

促されて視線を向けたその先には、ピンクのサテンのカーテンで覆われた出入口。

え。やだ。この中ってアレじゃん。いわゆるアダルトコーナーじゃん。神山透の顔を伺ってみれば、それはそれはイイ笑顔でイケメンはこちらを見つめてくる。

「僕、この中に恥ずかしくて入ったこと無いんですけど、今日は山本さんがいてくれるから、良い機会なんで入って見ちゃおうか思いまして」
「えぇ?!良い機会って何なんですか?それに私だって、この中に入ったことなんてありませんよ?!」

悪びれもせず、なんつー場所に誘ってくるのか。
慌てて無理だと反応すると、イケメンは尚更なぜかイイ笑顔を浮かべる。

「それなら尚更入って見ましょうよ。いやあ『山本さんの初めて』に、ご一緒できるなんて嬉しいなあ」
「いやいや、神山さんが恥ずかしいものは私も恥ずかしいですし、そもそもアダルトものなんて選んだこともないから、なんのお役にも立てませんよ?!」

そうはいくかと必死にまくし立ててみるものの、イケメンはそんな反応どこ吹く風。

「だって先程、ご褒美に何か頂けるっていうから……。折角なんで、コレをご褒美にしてもらおうかと思いまして」と言いやがる(語彙)。

……先程発した言葉と尊敬の念を撤回したい。
撤回したいが、自分は本日このイケメンには色々ご接待してもらった身分である。
だからと、仕方なく。本当に仕方なく!
渋々私はピンクのカーテンをくぐるのであった。
 
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