貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
その後、神山透は浴室から湯の入った洗面器を持って来て、甲斐甲斐しくも唾液で濡れまくった私の足を丁寧に洗ってくれたのだった。
なんというお姫様扱い!何かの漫画のワンシーンみたいな光景だが、惜しむらくは姫が圧倒的に地味で、従僕が従僕らしからぬ美しさってところだろうか。
そんでもってお姫様のお御足ならきっとスラリとして華奢なんだろうな。それに対して私の足ときたら……自分で言ってて少しヘコむ。

「私の足は丸っこいですけど、これ、母方の遺伝なんですよね。」

想像上の姫とはいえ、比べてしまうと悲しくなってきて、ポツリと言葉をこぼしてしまう。

「父は甲が薄いから、どんな靴も履けるんですよ。けど、私は母に似ちゃったので靴を選ぶのに苦労するんですよね。母も、その母もみんな甲高幅広なんで、私も将来子供を産んだら、きっとその子もそうなんですよ。だから、自分の子供にまで靴の選び方で苦労させることになるのかと思うと、なんだか申し訳ないなあって思って。」

まあ子供を生む予定なんてまだ全然無いんですけれど、と言いながら、一度口にしてしまえば、甲高幅広への根深いコンプレックスが、ポロリポロリと言葉となって出てきてしまう。

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