貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
改札の反対側のこの店は、会社の人の利用が少ない穴場である。また、ある程度ガヤガヤ騒がしい店内は、大声でもない限り、周囲に話も聞かれまいというチョイスでもあった。
どうだ、この短時間で考え出されたホスピタリティ!

なのにこちらの配慮を知ってか知らずか、このイケメンときたら店に入っても相変わらず顔色悪く、しょんぼりして会話の一つもしようとしないではないか。

生ビールとお通しが、すばやく運ばれてきたので、「はいっ!本日もおつかれさまでした!」と、反応の無い相手ととりあえずの乾杯をして、ゴックゴックとビールを飲み込んで。

「ぷっはー!仕事終わりの一杯がたまらん!!神山さんも出張だったんですよね?いや~お疲れ様でした!まあ飲みましょうよ!!」

わざとらしいくらい明るく酒を勧めてみると、やっと反応を示した神山透は、ジョッキを手をするとゴキュゴキュと喉を鳴らしてビールを一気に流し込み、フゥーとため息をつくのであった。

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