貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
「……なんか、すみませんでした。」

ようやくイケメンは口を開く。
何に対して謝っているのか心当たりはありすぎるけれど、いやいや、別に大丈夫デスヨ?
むしろあなたのほうが災難でした。

「神山さんとはあまり仕事でもご一緒することもないですから、珍しいお誘いにビックリしましたけど、たまにはいいですよね」と、ニッコリ大人の模範解答をしてあげよう。

するとイケメン、「なんだか、飲みたい気分になったものですから」と、更に話を続けるものだから、つい私も「同じ課の佐藤さんとか橋本さんとかもまだ社内にいたんじゃないでしたっけ?」と、思わず疑問を口にする。

暫くの沈黙の後、「ちょっと、今日は彼らと飲む気分じゃなくて……」とまたイケメンは下を向く。

……しまった。
こりゃ聞いてはダメな質問だったか。

酒の力でせっかく和み始めた空気はすっかり元通り。
沈んだ雰囲気に、頼んだ料理が来るのを待ちながら、私は早くも帰りたい気持ちで一杯になるのだった。
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