貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
「でもぉ、公にすることでもないから、知らない人のほうが多いかとは思うんですけど、実は神山さんは、私と付き合ってるんですよぉ」

……ドクリ、と、心臓が激しく鼓動した気がした。

神山透と紺野洋子は付き合っている?
そんな馬鹿な。

日曜日の帰る間際まで「ずっと一緒にいたい」なんて甘い言葉を私に囁いていたのに?

「明日も休みならいいのに」なんて言って、グズグズ帰りたくなさそうにしていたのに??


顔色が悪くなった私に気づかすに、更に紺野洋子は話を続ける。

「神山さんが山本さんとホテルに行っちゃったのは、多分ちょっとした火遊び程度のことだと思うんですよぉ。でもそれって山本さんにすごく失礼じゃないですかぁ!だから山本さんが傷つかないうちに、そんな関係は早く辞めちゃったほうがいいんじゃないかな?って思ったんですよぉ」

神山透に対してわざとらしいくらい頬を膨らませ、プンプン怒りながらも、「あなたの為を思って」と、さも親切そうな顔をする。
一連の彼女の話のあまりの衝撃に、目の前がグワングワンと揺れて吐き気がするが、何か大事なことを忘れている気がする。
……そうだ、一番最初にホテルに入る前に神山透はなんて言ってたんだっけ?

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