貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
紺野洋子はフンと鼻を鳴らした後に、ニヤリと笑うと下腹部に手をあてて、勝ち誇ったようにこう宣言するのだった。

「それにね私、妊娠しているのよ。だから、私と彼と生まれてくる子供の幸せの為に、山本さん、あなた引いてくれないかしら?」

……足元がガラガラと音を立てて崩れ落ちてしまったのではないかと錯覚する程の攻撃的なその言葉に、思わず全身が震えだしてしまいそうになってしまう。

紺野洋子の言ってることは本当なのだろうか。
いや本当ではないと思いたい。
神山透は軽率に人を妊娠させるような人間ではないと思いたい。

けれども自信みなぎる態度の紺野洋子を見ていると、その願いは打ち砕かれそうになる。

神山透は紺野洋子を妊娠させたのにも関わらず、私と離れたくないなどというような適当な事を言っていたのだろうか。

口先だけの甘い言葉に、私はまんまと騙されてしまったのだろうか。

何が正解かわからない。
神山透を信じたくても「彼女を妊娠させた」というフレーズが邪魔をして、彼を無条件で信用
< 99 / 144 >

この作品をシェア

pagetop