私だけに甘いあなたと恋をする
「何?」


「二階の空いてる部屋、響くんに使ってもらおうと思ってるから、あなたも響くんの荷物運ぶの手伝ってあげて」


響くんのお手伝い!


「はーい!」


嬉しくなって響ちゃんが居る洗面所に駆け込む。


「響ちゃん!」


「わっ!ビックリした!」


顔を洗っていたらしい響ちゃんが、タオルの隙間から目を覗かせた。


「どうしたの?」


にっこり微笑むその優しい眼差しは、私が知っている子供の頃から変わらない。


「あのね、お母さんが響ちゃんの荷物運ぶの手伝ってあげて、って」


「そっか。ありがとう」


久しぶりにちゃんと向き合って話した気がする。
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