私だけに甘いあなたと恋をする
『父さんはさ、母さん以外の人の血吸ったことある?』


『あるよ』


『皆甘い匂いした?』


『そうだな。それぞれ違ったけど、皆甘い匂いはしたよ』


『ふーん』


『響』


『何?』


『お前ももう高校生だからこれだけは伝えておく。異性を好きになるということは吸血衝動を引き起こし、肉体関係を結びたくなる。どっちもごく自然な欲求だからな』


好きだから血が欲しくなる。

父さんの言ってたことがようやく分かった。


「はぁっ…」


父さんはどうやって吸血衝動を抑えたんだろう。

母さんは普段何であんなに元気だったんだろう。

もっとちゃんと聞いとけば良かった。
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