私だけに甘いあなたと恋をする
「――っ…」


血が欲しくて狂いそうになる。

初めての感情に押し潰されそうだ。


「はぁっ…」


まゆの匂いと同じキャラメル。

机に置いてあるそれに手を伸ばし口に含んだ。

今まではキャラメルの味がするだけで満足したのに、口の中に広がる粘っこさに吐き気がする。


「――ふ…」


息の仕方さえ分からない。


まゆ…。


姿を想像するだけで体の奥が熱くなって身体中の血が沸騰する感覚。


父さん…母さん…。


頭から血を流し、出血多量で瀕死の状態だった母さん。

そんな母さんに少しでも血を分けようとして血が足りなくなって亡くなった父さん。


俺はどうやって生きていけばいい?
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