私だけに甘いあなたと恋をする
「……まゆ…」


「せっかく覚悟決めたんだから、ちゃんと答えてよ……」


胸に顔を(こす)りつけると、響ちゃんの手が私の顎を上向かせた。

近付いてくる気配を感じて目を閉じれば、唇に触れるだけのキスを落とされる。

スーツのジャケットを握り締めたら、その上からそっと手が重ねられた。


「まゆ、こっちおいで」


手を引かれ、連れて行かれたのは家庭科準備室。

背中側でカチャリと音がして鍵を閉めたのが分かった。

後ろから抱き締められ、響ちゃんの重みを背中で受け止める。


「……まゆ、俺…怖いんだ…」


怖い?

何が怖いんだろ…。


私を抱き締める手の上に自分の手を重ねた。
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