私だけに甘いあなたと恋をする
※※※



「さて、行きますか」


ソファーから立ち上がる響ちゃん。

目的地は自宅から徒歩二十分の大型スーパー。

私は自転車があるけど、響ちゃんの普段の移動手段は徒歩か車らしい。


「ね、歩いて行こ?」


何かあった時のために車の鍵は置いていってくれてるけど、車だと響ちゃんが運転しないといけないもん。


「了解。じゃあ行こう」


差し出される手。

その手に自分の手を重ねると、優しく握り締めてくれた。


「初めてだね」


玄関の鍵を閉めて歩き始めたら響ちゃんがそう言って微笑む。


「何が?」


何のことを言ってるのか分からなくて、思わず聞き返した。
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