私だけに甘いあなたと恋をする
「で、ごめん。さっき何か言いかけてなかった?」


「え…、ああ」


話を振られ、ふと聞こうとしてたことを思い出す。


「真鍋くんはどっち向きに帰るの?」


改札口から左右に降りる階段とエスカレーターが分かれていて。


「三輪さんは?」


質問したのに質問で返される。


ま、いっか…。


「私はこっち」


「そっか」


そう言って私の横を通り過ぎていく。


一緒の方向なんだ…。

それならそう言ってくれたらいいのに。


「真鍋くんはいつもこんな時間?」


少し追いかけるようにして真鍋くんの斜め後ろから声を掛けた。
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