私だけに甘いあなたと恋をする
「真っ、真鍋くん大丈夫!?」


「大丈夫だって」


そう言いながらも表情が歪んでるような気が…。


「……ありがと」


「別に…」


あ…、照れた。


カーブが終わって直線になったらしく、皆の体重が離れていくのが分かる。

真鍋くんの肘もドアから離れた。

それからしばらくして減速し、前方に向けて人が押される。


「まもなく桜田(さくらだ)、桜田です。お出口は左側です」


『桜田』はその名の通り、駅前にたくさんの桜が植えられていて。

入学式の時にはピンクの花びらが風に舞ってすごく綺麗だった。

『桜田』の『田』は昔、駅の周りが田んぼだらけだったことが由来だとか。
< 233 / 449 >

この作品をシェア

pagetop