私だけに甘いあなたと恋をする
「ずいぶん甘ん坊だね。ま、俺にとってはご褒美(ほうび)でしかないけど」


クスクス笑いながらぎゅっと抱き締めてくれるから、その背中に両手を回して抱き締め返した。


「あんまり調子乗ってると、ここで血もらうよ?」


冗談で言ったのは分かったけど、このまま流されてもいいって…。

そう思ったから。


「……いーよ」


目を閉じて(ささや)くように返事した。


本当(ほんと)にもー…」


反応を確かめるように、(まぶた)やこめかみ、耳たぶ、頬、そして唇に触れる柔らかい唇。

何度かキスをして。


「――っ…」


もうすっかり慣れた響の吸血行為に身を(ゆだ)ねた。
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