私だけに甘いあなたと恋をする
カナちゃんが眉をひそめムッとした表情をしたけど、森くんが怖いのか何も言わない。

振り返ったら一瞬だけ目が合って。

でもすぐに逸らされた。


……言いふらしたりはしないんだ…。


ホッとしたのと『何でだろ』という単純な疑問とが頭の中を()(めぐ)る。


「先生は先生で、彼氏は彼氏でカッコいいよ」


先生の時の響、二人で居る時の響。

私にはどっちもカッコよく見えるから。


「おぉっ?確かに上村先生カッコいいけど、浮気しちゃダメだよ」


カナちゃんが無邪気に私の頬をつつく。


「ん、大丈夫」


皆の前で少し困ったように恐縮(きょうしゅく)する響の姿を見つめた。
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