私だけに甘いあなたと恋をする
※※※



「失礼しまーす」


ドアをノックし中から返事が聞こえてくると、いつもよりも一オクターブ高い声で麻田さんが社会科準備室のドアを開けた。


「あれ…?」


響の声がするけど、麻田さんの背中に隠れて見えない。


先生(せんせ)、ノート取りに来ましたっ」


嬉しそうに駆け寄る麻田さん。

その声はすごく甘くて、好きの気持ちが(あふ)れてる。


「俺、三輪さんに取りに来てって…」


「居ますよ、ほらっ」


半分だけ体をこっちに向けて、私の方に手のひらを差し出した。

隙間から、残念そうな表情をした響と目が合う。

何も反応しないのも変な気がしてペコリと頭を下げた。
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