私だけに甘いあなたと恋をする
「ねぇ、まゆちゃん」


「ん?何?」


今は終礼が終わった教室にカナちゃんと二人きり。

日直だったカナちゃんが日誌を書いているのを、カナちゃんの前の席に座って見守っている。


「勝ったかな…」


全国的に有名な牧園。

春の選抜とは違って、うちみたいな甲子園常連校も公立高校も一から試合をするから、番狂わせもあり得るって真鍋くんが言ってた。


「勝ってるよ、絶対」


窓の方に視線を向けると、まだ日は高くて四時前には思えない。


「土曜日なのにこうやって毎回授業があるの、こーゆー時には嫌になるね」


『うーん』と言って両手をグーにして伸びをするカナちゃん。
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