私だけに甘いあなたと恋をする
「ただいまー」


買い物に出掛けてたお父さんとお母さんが帰ってきたみたいで。

慌てて離れる私達。


「え、何?どうしたの?」


お互い不自然な体勢になったからか、ドアの取っ手を握ったままお母さんが真顔で立ち止まる。


「何もないよ」


何もないわけないし、もしかしたら全部バレてるかもしれないけど。

とりあえず、そう言うしかないし。


「……ふーん、あっそ…」


まるで漫画に出てきそうなほどジト目で私達を見たお母さんは、ため息を吐いてからドアを閉め、キッチンに向かって歩いて行った。
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