私だけに甘いあなたと恋をする
「真鍋にも登板の機会あるかな」


「うん!あるよ、絶対!」


なんたって特待生だもん!


グラウンドに整列した皆を見守る。


「始めます、礼!」


審判がそう言うと、皆帽子を取って『お願いします!』と大声で挨拶した。

生で野球を観るのは初めてだから、始まってもないのに興奮してドキドキが止まらない。


「いよいよだね」


カナちゃんの方を向くと視線はグラウンドに向けたまま大きく頷いた。


「守ります、牧園高校のピッチャーは中村くん。キャッチャー、――」


うちは後攻らしくて、皆守備位置についている。

だけどその中に真鍋くんは居なくて。
< 349 / 449 >

この作品をシェア

pagetop