私だけに甘いあなたと恋をする
「大丈夫、だよね?」


隣から聞こえてくる声。

振り向いたけどカナちゃんはグラウンドを見つめたまま。


「……大丈夫だよ、絶対…」


次のバッターを空振り三振で打ち取ってツーアウト。

あとアウト一つで念願の甲子園。


良かった…。


ホッとため息を吐いたのも束の間。

そこからが長かった。

次のバッターがセンター前にヒットを打つと、その次のバッターもレフト前にヒット。

あっという間にツーアウト満塁。

三塁側の盛り上がりは異常なほどで。

周りを見回すと、皆表情が消えてお葬式みたいな雰囲気。


このまま負けちゃうのかな…。


完全に相手の雰囲気に()まれてる。
< 352 / 449 >

この作品をシェア

pagetop