私だけに甘いあなたと恋をする
グラウンドでは皆が整列して帽子を取り、審判の合図で『ありがとうございましたー』と大きな声で挨拶をしてお互いに握手を交わしていた。

自分がその場に立ってるわけじゃないけど、目の奥だけじゃなくて胸まで熱くなる。

隣を見ると、カナちゃんは両手首で目尻を必死に拭っていた。


「良かったぁー。本当に良かったよぉーっ」


もう大号泣。

それを見て私も堪えていた涙が溢れだす。


「カナちゃん、優勝したね」


「まゆ…ちゃ…、うん、うん…」


二人で抱き合ったまましばらくの間、泣き続けた。
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