私だけに甘いあなたと恋をする
「ちょっ、何?」


立ち上がれず、座ったまま振り返って軽く睨むと森くんが首を横に振った。


「余計なことすんな」


そう言ってボソッと呟く。

席が前後の私達。

普通の声の大きさなら近くに居たら聞こえてくるけど。

どうやら二人の会話まで聞いていたらしい。


「盗み聞きとかサイテーだよ」


「それはまゆりもだろ」


「う…。でも、だって…」


今頃カナちゃん――…。


「お前がアイツに何してやれんの?」


……私がカナちゃんに?


(なぐさ)められたところで何が変わるわけでもねーし」


「それは……そう、だけど…」


何もできないかもしれない。

でも――。
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