私だけに甘いあなたと恋をする
言われた通りだった悔しさよりも、カナちゃんに拒絶されたことの方がショックで。

目の奥がじわりと熱くなって、胸がズキズキ痛い。


泣くな。

カナちゃんはもっとツラいんだ…。


俯いたままだと目尻からこぼれそうになる涙を堪え、顔を上げる。


「三輪さん?」


背後から呼ばれた。

姿が見えなくても分かる、愛しい人の声。

振り返ると思ったよりも近くに響が立っている。


「泣いてた?」


「泣いてない」


「どうしたの?」


「響には関係ないよ」


学校では先生と生徒なのに。

お互いの立場をわきまえないといけないのに。

周りに人が居ないのが分かって、つい強い言い方になった。
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