私だけに甘いあなたと恋をする
両チームの選手がベンチ前から走り出す。


「お待たせいたしました。第一試合、牧園高校と聖南高校の試合、まもなく試合開始です」


自然と沸き起こる拍手。

私も皆に合わせて拍手した。

どんどん気持ちが(たかぶ)ってくる。

さっき、うちの高校が先攻だとアナウンスされてた。

聖南のピッチャーの投球練習が終わって打席に立つのは二年生。


「一回の表、牧園高校の攻撃は、一番、キャッチャー、柏木(かしわぎ)くん。キャッチャー、柏木くん」


名前がコールされ、試合開始のサイレンが鳴り響く。

それを合図に吹奏楽部の演奏が始まった。

カキーンという快音が甲子園に響き、歓声が上がる。
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