私だけに甘いあなたと恋をする
「真鍋頑張れっ」


カナちゃんの声にハッとした。


そうだ。

落ち込んでる場合じゃないんだ。


今は一回の裏。

試合はまだまだ残ってる。


ここを何とか抑えてくれたら。


祈りが通じたのか八人目のバッターは空振り三振で。

ようやく聖南の攻撃が終わった。


「長かったねー」


自分達のベンチに戻っていく皆の背中をボーッと見てたら、カナちゃんが大きく息を吐く。

その声に、私もちゃんと呼吸するのを忘れてたことに気が付いた。

何度か深呼吸して息を整える。


「息するの忘れてた」


「えーっ、何それ。そんなことある?」


落ち着いたところでそう言ったら笑われちゃった。
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