私だけに甘いあなたと恋をする
途中でまたピッチャーが交代して。

この回を抑えたら最後の攻撃。

点差は二点。


ここさえ抑えたら…。


そう思ってたのに。

一回の裏にホームランを打った選手の打球が、真鍋くんの頭上を越えて観客席に吸い込まれていった。

一対四で広がる点数差。


お願い、もうこれ以上引き離さないで。


見てることしかできないから、そうやってただひたすら心の中で祈る。


痛…。


指に痛みを感じて両手を広げてみた。

ずっと手を握り締めていたからか、指と指の間が真っ赤。


……こんなに力入ってたんだ…。


でも真鍋くん達はこんなの比にならないはず。


最後まで信じなきゃ…。
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