私だけに甘いあなたと恋をする
前に立ってた人達が振り返った。

皆でぼろぼろ泣きながらメガホンでハイタッチを交わす。

私達も振り返って後ろの人ともハイタッチを交わした。

もう後がない九回でホームランが出て二点の追加。

あと一点取れば少なくとも引き分けで延長戦。


大丈夫。

あと一点。


自分に言い聞かせるように祈る。

ネクストバッターズサークルには真鍋くん。


「さっきと一緒じゃん。このままここで終わりじゃね?」


『さっきと一緒』


森くんの言葉に嫌な場面が頭を(よぎ)った。


「森くんっ!」


「悪かったって」


ペロッと舌を出す。


絶対悪いと思ってないし。
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