私だけに甘いあなたと恋をする
「アイツはいつだって真剣にやってるの!冗談でもそんなこと言わないで!」


周りが静かになるほどの低い声でカナちゃんが森くんを睨んだ。


「…だから悪かったって」


唇を尖らせ眉を寄せる森くん。


「アイツ朝めちゃくちゃ早いし、夜だって公園とかで一人練習してるんだよ。アイツが…真鍋が頑張ってる姿見たことないくせに…」


私を挟んで言い合いをする二人。

下を向いたまま二人の話を聞いていると、周りで落胆のため息が漏れた。

顔を上げたらカウントボードに二個目の赤色が点灯している。


あと……一人…。


ボードからグラウンドに視線を落とすと、バッターボックスに向かう真鍋くんの姿。
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