私だけに甘いあなたと恋をする
甲子園に響く歓声と悲鳴。

ピッチャーが投げたボールをファーストの人が取って。

これで終わり。

だけど――。

どれだけ間に合わないって分かってても、真鍋くんは全速力で一塁に走ってベースに飛び込んだ。


「――…っ」


相手チームがマウンドに集まって喜びを爆発させてる中、真鍋くんはベースに突っ伏したまま動かない。

ベンチから出てきた牧園の選手が、真鍋くんの隣に腰を落として肩を抱きかかえ揺する。

それでも真鍋くんは微動だにしなくて。

また別の選手が反対側に腰を落として真鍋くんの背中を(さす)った。

二人に引き起こされる。
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