私だけに甘いあなたと恋をする
抱えられた真鍋くんは帽子で顔を(おお)って、遠くから見ても分かるほど肩を上下に震わせていた。

歩けなくなって何度も立ち止まって。

それを脇の二人が支え、半ば引きずるようにマウンドに集合した皆の元へ歩いてく。

その姿が痛々しくて、私も涙が止まらなかった。

審判が手を挙げ、両チームが帽子を取って挨拶をする。


「ご覧のように、四対三で、聖南高校が勝ちました」


終わったんだ…。


「ただいまより、勝ちました聖南高校の名誉を(たた)え、同校の校歌を演奏し、校旗の掲揚(けいよう)を行います」


相手チームが笑顔で校歌を歌っている。
< 398 / 449 >

この作品をシェア

pagetop