私だけに甘いあなたと恋をする
あと少しだったうちの高校はすすり泣きがあちこちから聞こえてきて、まるでお葬式みたい。

校歌の演奏が終わって自分達のスタンドに駆け寄る選手達。

帽子を取って頭を下げた牧園の選手は、ほとんど皆泣いていた。

その姿を見て、またもらい泣きしてしまう。


「応援団並びに、ご観覧のお客様にお願い申し上げます。お席をお立ちになる際には――」


ここに来るまで、負けることがこんなに悲しいことだとは思わなかった。

マウンドに立った真鍋くんの気持ちはどれほどだろう。


…何て声掛けてあげたらいいんだろ…。


次に会った時、真鍋くんとどう接したらいいのか。

考えても何も浮かばなかった。
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