私だけに甘いあなたと恋をする
「安らかなお顔」


お母さんがハンカチで目を押さえた。

お父さんも黙って頷いている。


「即死だったそうです。苦しまずに亡くなったことは救いだったのかな…と」


響ちゃんの顔が疲れてるように見えた。


そりゃそうだよね…。

突然家族が居なくなっちゃったんだもん…。


残された響ちゃんのことが心配で心配で。

お通夜の間は何をしていたのか覚えてない。

ただ響ちゃんの(りん)とした表情と、今にも消えてしまいそうな…そんな(はかな)さに胸が締め付けられたことだけが記憶に残っていた。
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